筋トレと言うとベンチプレスやダンベルカールのように、重いバーベルやダンベルを持ち上げる動作を行うイメージが強いと思います。
しかしトレーニングを始めたばかりだといきなり重いバーベルを用いたりするのは少し抵抗があるのではないでしょうか。また、重い負荷をかけることで関節を痛めたり怪我をしたりする可能性もあり、心配ですね。
軽い負荷でトレーニングしてもあまり筋肉がつかなさそう。でもいきなり重い重りを使うのはちょっと・・・。そう思って筋トレを諦めようとしていませんか。
実は軽い重りでもあることを守れば効率的に筋肉を大きくすることができるのです。そこで今回は、筋トレ初心者でも安心してできる、軽い負荷でも筋肉を大きくするトレーニングの方法やその原理について紹介していきます。
筋トレとサイズの原理について
さて、まずは筋トレ中の筋肉の使い方について紹介していきます。
一見ひとつにまとまって見える筋肉ですが、大きく分けると2つの種類があります。その種類とは、速筋と遅筋という2つの筋肉です。
速筋は、パワー型の筋肉で、大きな力を発揮することに優れています。遅筋線維は持久型の筋肉で、パワーは小さいですが持続的に力を発揮することができます。
私たちが筋肉を収縮させる時、小さな負荷だとまずは遅筋が働きます。遅筋のみで対応できない負荷になってくると遅筋に加えて速筋が動員されていきます。
このように、負荷の大きさによって筋肉の使われ方が変わってきます。このような現象を、サイズの原理と言います。
疲労困憊まで追い込め!
それでは、筋肉をつけるためにはどのようなトレーニングを行えばいいのでしょうか。それは、疲労困憊まで追い込むことです。
よく、筋肥大を起こすには10回を持ち上げられる重さでトレーニングをするのがいい、ということが言われていますが、最近ではその考えが少し変わってきています。
筋肉には遅筋と速筋の2種類があることを先程お話しましたが、遅筋よりも速筋の方が大きくなりやすいという特徴があります。そのため、筋肉をつけるには速筋を鍛えるのが効率的です。
速筋は軽い負荷では動員されません。なので、ある程度負荷をかけないと速筋を鍛えることができません。なので、10回を持ち上げられるある程度高い負荷をかけてトレーニングをする、というのが以前の考えでした。
しかし、軽い負荷でも速筋を動員させることはできます。その方法とは、疲労困憊まで追い込むことです。
軽い負荷では、まずはサイズの原理に従い遅筋が使われます。遅筋は持久力に優れているので、ある程度は軽い負荷を持ち上げることができますが、やはり限界はあるもの。何度も重りを持ち上げていると遅筋は疲れてきて重りを上げられなくなります。
そうするとどうなるのか。速筋を動員して、今まで通り重りを上げようとします。遅筋で対応できない分を速筋で補うことで重りを上げるのです。そのため、軽い負荷で速筋を使うためには限界まで追い込む必要があります。
どれくらいトレーニングを行ったのかを測る指標として、トレーニング容量というものが用いられます。これは、重りの重さと、その重りを上げた回数をかけ合わせた数です。
筋肉をつけるには、トレーニング容量を高めることが効率的です。つまり、MAXの重量を1回上げるよりも、軽い負荷で何度も筋肉を収縮させることが大切なのです。
実際に筋トレに関する研究が行われ、高強度低回数のトレーニングよりも低負荷高回数のトレーニングの方が、筋重量が上昇するということが示されました。
なのでジムで100kgのベンチプレスをしている人を見て、自分はあそこまで思い重量を上げられない、なんて思うことはありません。大切なことは限界まで追い込むこと。そうすることで速筋を使い、筋肉を大きくすることができます。
パワーを高めるには高負荷低回数
ちなみに、2、3回しか持ち上げられない重い負荷でトレーニングした場合はどのようなトレーニング効果が得られるのでしょうか。重い負荷でトレーニングをした場合は、パワーを高めることができます。
私たちは「全力で力を出せ!」と言われて限界まで筋肉を使っているような状態でも、実は全ての筋肉を使い全力で力を出している訳ではありません。「火事場の馬鹿力」という言葉があるように、本当に窮地に立たされた時に力を使えるようにある程度余裕を持たせているのです。
それは、脳がそのように筋肉を支配しているからです。筋肉は脳から「収縮しろ」という命令を受けて収縮します。しかし脳は万が一の時に備えて全ての筋肉に収縮の命令を送らず、余裕を持たせて筋肉を使っています。
重い重量を持ち上げると、多くの筋肉を使う必要があるので、脳は多くの筋肉に「収縮しろ」という命令を送ることになります。このようなトレーニングを繰り返していると脳は今までよりも多くの筋肉に「収縮しろ」という指令を送り出すようになり、今までは使わずに眠っていた筋肉を使えるようになる、つまりよりパワーが高まる、という適応が起こります。
筋肉を大きくする効果は低いですが、今まで使っていなかった筋肉を使いきりパワーを高めたい、という場合には重い重量でトレーニングする必要があるのです。
ウエイトリフティングでは体重により階級が分かれています。筋肉をつければ持ち上げられる重量は多くなりますが、筋肉をつけすぎると階級がり、不利になってしまいます。そこで、筋肉は増やさずにより重い重量を上げるためにパワーを高めるトレーニングが必要となります。
とにかく筋肉をつけたい、という方は先程紹介したように軽い負荷で限界まで追い込むようなトレーニングがおすすめです。重さが軽い分、体を痛めたり怪我をしないということがメリットです。
まとめ
筋肉をつけたい!体を大きくしたい!でも重い重量を上げるのは不安だ。そんな方には、軽い負荷で限界まで追い込むというトレーニングがおすすめです。
軽い負荷でも限界まで追い込むことで大きくなりやすい速筋を使い、筋肉をつけることができます。
軽い重量でのトレーニングは体を痛めたり怪我をする可能性が低く、初心者でも取り入れやすいのがメリットです。
ジムは重い重量を上げている人が多い印象があるかもしれませんが、そんなことはありません。大切なのは、限界まで追い込むこと。軽い負荷でも筋肉を大きくすることはできます。筋肉を大きくしたい方は自分を限界まで追い込みましょう。