自衛隊 最前線の現場に学ぶ 最強のリーダーシップ

自衛隊 最前線の現場に学ぶ 最強のリーダーシップ

プロローグ

今回、ご紹介するのは「普通の若者を劇的に成長させる組織術」ということで元陸将・陸上自衛隊東北方面総監で、元陸上自衛隊の幹部候補生学校の校長を務められていた松村五郎氏の著書

自衛隊 最前線の現場に学ぶ 最強のリーダーシップです。

数多あるリーダーシップ論の中で、最も説得力があるのは軍組織だと思っていました。(自衛隊は軍ではありませんが)
なぜなら、仕事(任務)が文字通り命がけだからです。
誰かに言われたから、とか、金のため、でもなく、自分の命をかけて国を守るという特別な仕事。

この仕事には作戦があり、その作戦を指揮する人がいます。

それが幹部自衛官です。

時と場合によっては、部下に過酷な命令を下さなければならない事もあるでしょう。
その部下は、上官だからといって死ぬかもしれない命令に素直に従うでしょうか。

命をかけるほどの厳しい任務をきちんとこなせる粘り強さを持った組織を築いていくには、どうしたらよいのか。
自衛隊は、その答えを、隊員を率いていくリーダーの能力向上にもとめてきました。
P5

私たちのようなビジネスマンは仕事で失敗しても命まで取られることはありません。
当然、部下に命を落とすかもしれない過酷な指示をすることも、まずありません。
とは言え、別世界の物語ではなく人を率いる力、リーダーシップにおける考え方は大変参考になるものでした。

本書は三部構成になっており、最初の二部は、それぞれリーダーに必要な二大要素である「人間力」と「知力」に対応しています。
リーダーには人を惹きつけて引っ張っていく、人間としての力が必要なのは言うまでもありませんが、適時に適切な判断を下せる見識も重要です。
~中略~
陸上自衛隊では、前者を「統御」、後者を「指揮」と区分して、両方の能力を併せ持って初めて「統率」すなわちリーダーシップが発揮できると考えます。
P5,P6

書籍の目次

第1部 「人間力」を上げる

第1章「即、実行」で信頼を勝ち取れ!
第2章 一人一人を輝かせよ!
第3章 よく聞いて、感謝し、決断せよ!
第4章 常にポジティブ思考であれ!
第5章 「志、元気、素直、愛嬌」を忘れるな!

第2部 「知力」を上げる

第6章 チームの「地位・役割」を自覚せよ!
第7章 「リスク状況」も分析せよ!
第8章 必ず複数の行動方針を検討せよ!
第9章 自分の目で現場を見よ!
第10章 「次の次」を考えて行動せよ!

第3部 「明日のリーダー」をめざす

第11章 「利他の心」をリードせよ!
第12章 「協働」の精神を持て!

書籍に折り目を付けた場所

以下、参考になった箇所、心に響いた箇所など一部抜粋します。

リーダーにとって一番大事なもの

それは「信頼」である、と自信を持って言い切りたいと思います。
リーダーが、そのチームのメンバーから信頼されなくてはならないことはもちろんですが、横並びの他のリーダーやその上にいる上司たち、組織外のカウンターパート等々、関係するすべての人々から信頼されることこそ、リーダーがリーダーとしてその役割を果たすために、一番大事なものだと思うのです。
P24

会社の仲間を信じられなくなったら終わりだと思います。
会社にとっても一番大事なことです。

信頼を勝ち取るには?

「信頼を勝ち取るには、どうすればよいのか?」という大問題です。
~中略~
私はあえて、自らが指揮官やそれを補佐する立場で勤務をする過程で得た経験から、「信頼」を勝ち取るために、ある一つのことが大事だと言いたいのです。それは、

「即、実行!」=すぐにやれ!
ということです。
P26

確かに、速さは全てを解決すると思います。
本書には「即、実行!」の大切さが筆者の体験談と共に丁寧に書かれており、目から鱗が落ちるはずです。

「生き生き」が「強さ」を生む

自衛隊というのは「強さ」あっての組織です。
強くない自衛隊には、意味がありません。したがって自衛隊の各部隊の指揮官は、自らが任された部隊を強くするために、どうしたらよいのか真剣に考え、全力を尽くします。
~中略~
組織が強くなるためには、そのメンバー一人一人が強くならなくてはならない、一人一人が強くなるためには、一人一人がやり甲斐を感じながら生き生きしていなくてはならない
P38

会社のチーム力を上げるために同じ発想をしたほうが良いですね。

ウマが合わない人間とどう付き合うか

リーダーも人間である以上、好き嫌いもあり、人との関係でもウマが合う、合わないということがあります。
ウマが合う人間とは、日頃からよく話もするでしょうし、自然と気に掛けるようになるので、その人間に対する理解が深まり、うまく役割を与えることができるようになります。
しかし、逆の場合には、次第に疎遠になり、何をしているのかもわからず放置してしまいがちになるものです。
~中略~
中隊のナンバー2は、一兵卒からの叩き上げで、周囲からの人望を得て昇進を重ね、当時四十代後半でその役職に就いた人物でした。
彼はある時、私にこう言いました。

「中隊長、私は人付き合いに関しては、一つの信念があるんです。初対面の人と会った時、誰でも、こいつちょっと嫌な感じだなとか、ウマが合いそうにないなとか思う相手がいるじゃないですか。
普通そういう人間とは最小限の付き合いしかしないので、だんだん距離が空いちゃいますよね。
でもねぇ、私は初めにそう思った時こそ、その相手に頻繁に話しかけたり、一緒に遊びに行ったりして、積極的に付き合うんです。
そうすると、たいていの場合には、第一印象ほど嫌な奴じゃなかったり、合わない面があっても意外と共感できるところが見つかったりするんですよ。
それで、ああよかった、あのまま付き合わずにいたら、もったいないことになっていたなって思うんですよ。」

私は、こんな人間がいたのかかと、心底びっくりしました。
P46,P47

私もビックリしました^^;

他にもたくさん勉強になる箇所があり、今の人間関係を見直す良い機会になったり、部下をもっている立場の人なら、リーダーとはこういうものかという参考になると思います。

「事に臨んでは危険を顧みず、身を以て責務の完遂に務め、持って国民の負託にこたえることを誓います」

自衛隊の「服務の宣誓」です。

他国から24時間365日守ってもらえていることに、日々感謝です。

そして、資本主義の最前線で戦う私たちビジネスマンは同様の覚悟で仕事に邁進し、日本経済の活性化に務めるべきではないかな、と思います。

そして、最後に

部下を「変える」のではく、どう「動かす」かだ!

 

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